HAPPYの非日常茶飯事な日々

日々の川柳や和太鼓などについて語ってまいります。

三宅考121:舞台用の太鼓

今回の三宅島太鼓合宿、公認指導員同士はもちろんのこと、

地元の太鼓打ちとの交流ができ、とても実りのあるものとなりました。

これを機に三宅島の太鼓について改めて考えさせられました。

三宅島神着木遣太鼓(みやけじまかみつききやりたいこ)は三宅島郷土芸能保存会によって

伝承されている東京都の無形民俗文化財に指定されている太鼓です。

毎年7月に行われる牛頭天王祭(ごずてんのうさい)の神輿巡行で打たれる祭りの太鼓で

朝、御錫神社を出発して夜8時に神社に戻る迄打ち続けられます。

そのフレーズはシンプルで、木遣りとともに打っているとトランス状態に入って行く

いかにも祭りらしい太鼓です。

この太鼓を鼓童に伝えたのが三宅島で芸能同志会を主宰していた津村明男氏、

津村氏は三宅島で民宿をやりながらこのお祭りの太鼓組を務めていたそうです。

鼓童は公演のため日本の伝統太鼓の三宅、八丈、秩父屋台囃子などを採用、

それをアレンジして国内外の舞台で演奏しました。

鼓童は世界公演を成功させ、その結果三宅は世界に知られる太鼓となって行きました。

もしそれがなければ今でもどこにでもある一地方のお祭りの太鼓として

打たれていたのかも知れません。

鼓童に三宅を伝えた芸能同志会は噴火による全島民避難で八王子に居を移し、

東京で三宅島神着神輿太鼓として三宅の太鼓の普及に力を尽くし、

いくつもの教室を開催しています。

でもこの太鼓はもともとお祭りで打たれていた太鼓、お祭りでは数時間打ち続けられても

それを舞台にあげても鑑賞できるのは15~20分くらい、

三宅だけで舞台を作るのはムズカシイ。

そのためもあってか鼓童はソロを入れたり両面打ちをやったり、創作太鼓に作り替えました。

同志会の三宅も舞台用に作り替えられています。

三宅島の保存会の人たちも舞台公演をやりますが、長く出来ないところに悩みがあるようです。

しかしながら観客としてはこの三宅、基本的にはソロなので打ち手一人一人をじっくり

品定めをする楽しみがあるように思います。

あ、この人はすごい音!とか打ち方が美しい、とか全然音出てない、とか子供なのにすげえ、

とか、次々と登場する打ち手を味わう事ができます。

皆で一斉に打っている太鼓と比べるとそれが可能な太鼓と思えます。

実際、八王子祭りで2時間打ちましたが、観客はその間ずっと観てました。

鑑賞するというより、打ち手も観客もトランス状態になれる太鼓と思います。

これは伝統系の太鼓の飽きない要素の一つなのかも知れません。

というか太鼓の根源的な魅力と言えるかも知れません。

舞台で演奏する太鼓、どうなんでしょう。