スーパーを訪れると、棚の奥をほじくり返している人をよく見かけます。
その姿はまるで放し飼いの鶏が木の枝の下の土を執拗に足で引っ掻き出しているようにも見えます。
鶏は土の中のミミズを見つけようと姿勢を低くして一生懸命。
スーパーの買い物客は賞味期限が一日でも長いものを見つけようと必死です。
奥の奥から捜し出した賞味期限の最長な事を確認すると、鶏がミミズを飲み込むように背筋を伸ばし、商品をカゴに放り込んで満足したように立ち去ります。
スーパーができる前は主に商店街で買い物をしていましたが、当時は賞味期限も消費期限の表示もなく、売り手の采配と消費者の目と鼻が頼りでした。
何よりも買い物は基本的にその日のうちに消費するものを買うので、賞味期限は当日、もしくは翌日というケースが殆ど。
食材が保存できる冷蔵庫が普及し、買いだめが可能になった事で賞味期限が設定されるようになり、保管が可能になった反面、消費者はこの賞味期限の数字に縛られる事になりました。
調理の日にちには関係なくその日に食べるものでも一日でも賞味期限の長いものを買うという習性が生まれたわけです。
最近、スーパーも賢くなり、賞味期限間近なものは値引きして売るようになりましたが、消費者もその日のうちに食べるんだから、安い方が魅力だわと買っていきます。
売れ残ると廃棄せざるを得ない惣菜なんかは、閉店間際になると10%OFF、20%OFF、しまいには50%OFFとシールがどんどん貼られて行き、売り場は客が殺到し、競り市場の様相を呈するスーパーも見かけます。
手ぐすね引いて安くなるのを待ち続けると売り切れて買えなくなっちゃう、目星をつけたものを買うのはそのタイミングと価格判断の目利きが要求されます。
食品は新鮮なほどうまいかというとそうでもないようで、賞味期限、研究の余地があるやも知れません。経験値では、果物や野菜はやはり採れたてが賞味期限かも知れません。道の駅で仕入れるトマトは都内のスーパーのものより一味違うし、スリランカで食べたバナナは日本に帰ってバナナが食べられなくなるほどの別物でした。
ま、国内では賞味期限、あまり気にしない方がよろしいかと。
自分自身の賞味期限の方が気になっちゃいます。