HAPPYの非日常茶飯事な日々

日々の川柳や和太鼓などについて語ってまいります。

AUN J クラシックオーケストラ

AUN J クラシックオーケストラという邦楽の若手8人で構成された新春コンサートに行って参りました。

折しも当日の夜、BS放送で彼らがフランスの世界遺産モンサンミッシェルで行った

コンサート番組が放映されていました。

和太鼓×2、琴×2、中竿三味線、尺八、篠笛、鳴りもの、津軽三味線×2、笛、尺八×2、

という構成で、あれ、数があいませんがな・・・。

これは一楽器一人という事ではなく、主催のAUNの二人、井上公平、良平の兄弟(双子)が

太鼓のみならず、いろいろな楽器をこなしているから。


フランス公演終了後のフランス人の感想は、和楽器は初めてでもっと難解だと思っていたが、

とても親しみやすく、ノリもよかった、美男美女揃いでとても楽しめた、というものでした。


私は会場の日本青年館の大ホールで初めて彼らの生の演奏に接したのですが、フランス人と同じように

気負いのない若者たちの演奏は従来の和楽器のイメージとはまったく異なるものでした。

オリジナルの曲想もテンポのいいものが殆どで、従来の独特な渋さは感じませんでした。

フランスでもトトロをはじめジブリ作品の曲を演奏していたのはどういう意図があるのか、

機会があれば聞いてみたいなと思いました。

会場では全体的にはとても楽しめましたが、正直に感じたところもありました。

まず、音響がよろしくなかった。座席がかなり右側だったせいもあるかも知れませんが

なんだか安いラジオの音を聴いているよう。

それぞれの楽器の定位もなく、音が全体にまんべんなく広がっててその音も上から降って来る。

大会場のコンサートの難しいところですね。

邦楽器はひょっとすると大会場向きではないのかも、とか、室内楽的に楽しむのがよいのかもとか、

録音技術に頼るCDで鑑賞するのがよいのか、とか・・・・考えちゃいました。

もう一つは邦楽器は果たしてアンサンブル向きなのか、という大きな疑問が残りました。

西欧発祥のオーケストラはそれぞれのパートが集積して一つの楽器のような音を奏でるのですが

邦楽器は本来それが不得意なのでは?という感じを抱いたのです。

琴と尺八、または笛、のユニットはよく聞きます。

三味線と太鼓、笛も然り。

しかしそれぞれが独立性の高い和楽器が集まって一つのハーモニーを奏でるのは

とっても難しいのではないのだろうか、という事を考えながら演奏を聴いていました。


尺八と笛も、これもマイクのミキシングの関係か、音がどこまでも競り合っているように聞こえ、

美しいハーモニーとして私の耳には届く事がありませんでした。


そういう中で一番心に響いたのは琴の独奏でした。

途中目をつぶって聴いていると、紅葉、滝、吹雪、富士山、日の出、菜の花畑、和菓子、その他・・・

日本の美しい情景が浮かんでは消え浮かんでは消え・・・。

何故か桜吹雪の情景が琴の音にはイチバン似合うように私は感じました。


和楽器でも単に寄せ集めて音を奏でても全体として日本の音になるとは限りません。

日本人が慈しんで来た一音一音を大切に噛みしめるような音創り、

また日本人の「間」を生かした音作りが新しい日本文化を創出して行くように思います。

和楽器を使った西欧的な音作りばかりが正しいとは思わないし、

伝統的なものだけに頑に固執する必要もないと思います。

それでも和楽器を使って音の隙間を埋めて行くような西欧的な曲は私はとても疲れます。

そんな事をいろいろ考えさせてくれたコンサートでした。

感謝。