高校の和太鼓の授業で使う教材を制作中、道具としての和太鼓の使用例が前九年合戦絵巻物に遺されている事を知りました。
今や居ながらにして日本の文化財デジタルデータを探す事ができます。
国立国会図書館デジタルコレクションもその一つ、絵巻物の全容を観る事が可能です。
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絵巻は国立歴史民俗博物館に所蔵されている国の重要文化財ですが、平安時代に東北で起こった前九年・後三年の役の様子を絵と言葉で今に伝えています。実際に描かれたのは鎌倉時代と言われますが、戦に太鼓が使われていた事がわかります。
軍の参集や解散の合図に太鼓が使われていた事がわかりますが、組織的な戦いの合図として使われたのは戦国時代からという説が正しいように思います。
織田信長・徳川家康連合軍と武田勝頼が激突した長篠の合戦を描いた長篠合戦図屏風にも太鼓が描かれており、太鼓や鉦、法螺貝などが合図の道具として使われていたようです。
引き太鼓、押し太鼓、掛かり太鼓、などのシンプルな内容だったと推測されます。
戦況に応じて本陣から戦い方の指令が太鼓で伝達されたのではないでしょうか。
味方を鼓舞するだけだったら太鼓を担いで戦場を無防備な状態で駆け巡るというのもありかもですが、もしそうであれば太鼓打ちは真っ先に狙われてしまうと思います。
太鼓の音が絶えれば戦意喪失に向かいますゆえ。
そんな事から太鼓の使い方としては戦の指揮系統としての役割に軍配を上げたいと思います。