妖精の木、コリントンと題された小品は一本の木が写っている。
当然モノクロのその写真は、写真という技術を発明した人類にとって
新たな芸術表現を見出した喜びに満ちあふれているようだ。
色彩という情報が省かれた造形美、当時の技術がカラー画像を再現できなかったがゆえに
モノクロで再現される世界の新鮮さとそのカタチを主題とする芸術性に気付いたのかも知れない。
モノクロ写真で捉えたありふれた光景の中に、新たな芸術性を発見したのではないのかと思わされた。
これがカラー写真だったら表現されたものは現実の世界の延長線上にあるだけだったかも知れない。
もうひとつ、写真は時間を瞬時に定着できること
(実際は初期の写真は露光が7時間かかっていたとか)
これも人類が新たに手に入れた表現手段であろう。
3000年の時間をかけて人類は新しい芸術感覚を手に入れたのかも知れない。