東京都美術館にてメトロポリタン美術館展とやらが開かれているので行ってまいりました。
平日に拘らず、上野の森はえらい人でごった返していました。
あれえ、土日でもないのになあといぶかしく思いながら、まずは腹ごしらえとレストランを探します。
時間は一時半、どこもかしこも行列が・・・。
精養軒から動物園前の安食堂、カフェテリアからスタンドまで、人であふれています。
上野駅の近くまで行って、やっと食事にありつけました。
その後都美術館にとって返し、展示品を眺めて回ります。
こちらもそこそこの混雑状況で、ゆったり鑑賞するのは無理な話。
また、作品を守るためかとても照明が暗く、作品名や説明文が殆ど読めない。
新しい美術館は紫外線を殆ど出さないLED照明が主流で、照度も確保していますが、ここはまだか。
10月6日~2013年1月4日まで長期に渡って開催されているためもあってか、めぼしい作品の数は数点、
その中ではゴッホの糸杉が最大の呼び物かも知れません。
展示のコンセプトは自然、人々、狩人・農民・羊飼い、動物、鳥、草花と庭、カメラが捉えた自然、大地と空、森へ、
岩と山、水の生物、海と水流、というように時代を超えたテーマ別の展示になっており、古代メソポタミアの彫刻か
ら近代写真、中世の絵画、織物、陶磁器、家具工芸品までを一堂に展示しています。
日本ではあまり知られていない画家の作品も多数陳列されていて、超有名な絵に会えると思って行くと肩すかしを
喰らうかも知れません。
私がメトロポリタン美術館を訪れたのは3年以上前になりますが、広~い館内を駆けずり回って眺めた
これという懐かしい作品には再会ならず。
また16世紀フランドルの毛織物の植物をモチーフにしたパターンの何とモダンな事か。
全体を俯瞰して得た感想は人類の文明の歴史の中で、3000年前と現代ではその美的感覚に
殆ど差がないのではないかという事。
馬の小像の幾何学的な美、これは近代の彫刻家が見出した抽象的な美を凌駕しているではないか。
また400年前のタペストリーの図柄の何とモダンな事か。現代デザイナーの作品と何の遜色もない。
身分制度を廃したり、人権宣言を行ったり、奴隷を開放したりしてきたけれど、
人間はさほど進歩していないのではないかと。
文明の歴史はたかだか3000年、と思えてしまいました。