先日、篠笛奏者の朱鷺たたらさんの教室の発表会が川崎能楽堂でありました。
当日は日本太鼓協会の指導部会総会があったため、発表会には間に合いませんでしたが
最後のコンサートはなんとか滑り込む事ができました。
メンバーは
朱鷺たたら(篠笛)
鳥越啓介(ベース)
石川智(パーカッション)
演奏曲は
●笛solo
●彼は誰れ
●ヤモリ庵
●BASS solo
●夕夏里
何とこの豪華なコンサートが料金フリーで楽しめるとは恐縮ものでありました。
一曲目篠笛ソロはたたらさんが静かに登場し、能舞台に正座しての演奏。
マイクを使っているのかどうかは不明でしたが、その音色が会場に流れ出したとたん、
思わず涙が出そうになりました。
いい音だなあ。一音一音が胸に響いてまいります。
また笛を奏でる指先がとても美しい。
たたらさんの笛はその音にどこか厳しい表情が随所にあって、
そこが魅力のように勝手に感じています。
これにパーカッションの石川氏の多種多様な音色が絡み、
鳥越氏のベースが千変万化の音を奏でます。
鳥越啓介氏のベースは以前たたらさんのコンサートで聴いて、とても新鮮でした。
ベースソロは音響設備を駆使し、演奏している自分の音をその場で録音再生し、
それをバックにまた生の音を重ねて、ソロなのに多重奏を聴かせるという音楽を創造しています。
能舞台という広くも狭くもないヒューマンスケールの空間で聞くトリオの演奏、最高でした。
観客席は舞台をL型に取り囲む配置なのですが、これは舞が舞台を動き回るためでしょう。
歌舞伎にも花道というものがあり、
演者と観客が立体的に交わる事ができる空間が用意されています。
能舞台も正面からだけではなく、立体的に鑑賞できる作りに日本の文化を感じます。
動きのない正面性重視の音楽の舞台に馴れてしまっていますが、
さいわい笛は移動しながら演奏できる楽器、
舞台の構造を意識した演出もありかなと後で思いました。