先日稽古場に来られたTさんご夫妻、フランスに赴任するという事で打ち納めにいらっしゃったようです。
奥様の太鼓は実に見事なばちさばき、まさに流れるような打ち方とはこの事か、みたいな。
ご主人は力強い八丈。
夫婦そろって太鼓が打てるというのもなかなかよろしいもんで。
奥様の打ち方をたっぷり拝見しましたが足位置の組み替え、体の上下左右の移動、
音の強弱、様々なバチの振り、軌跡、どれをとってもすばらしいものでした。
ご主人は振りのバリエーションが少なくちょっと単調な印象。
同じ音を出す時も、その振りはいろいろな変化をつける事が可能で、
見ている人にとってはそのバリエーションが豊富なだけ楽しめるのだと思います。
次に出て来る音や振りが予想できないアドリブの妙味、これが八丈太鼓の魅力の一つだと思います。
打ち手による個性の違いもそれぞれ楽しめる要素でしょう。
同じ事を極力繰り返さない、あえて同じ事を繰り返す、繰り返す中で微妙な変化を付けて行く、
わざと音のない間を作る、その間を姿で見せる、等々無限のバリエーションがあるように思います。