視覚、聴覚、嗅覚、味覚、などど同じようにこの触覚、
人間の五感の中ではあまりクローズアップされる事はありません。
でも手触り、肌触りはすごく日常的、身近なものです。
洗い物をしている時など、微妙な「ぬめり」など指の感触で捉える事ができますよね。
特に職人技ではこの指の感触なしでは仕事が成り立たないようです。
その昔、ウェハーステッパーという半導体を焼き付ける精密機械を作る過程を
アメリカの工場で観る機会がありましたが、ミクロン単位で平面を出すのにベテラン職人が
台となる鉄の表面を何と手で削っていたのを覚えています。
ノミで削っては手で撫でて平面の状態を確認、それを繰り返していました。
その光景をみて、「なんて原始的な事をしているんだろう、機械で削った方が正確だろうに」、
と思ったものです。
しかし、指先はその平面状況を見極める、いや触り極めるとんでもない能力があるんですねえ。
卑近な例で、炊飯土鍋を洗っている時にそれを実感します。
ザラザラ感、ツルツル感、ヌルヌル感、出っこみ引っ込み、小さな突起、その他、
まさに手に取るように感じることができます。
視覚などは錯覚というものがありますが、触覚にはそれがありません。
触覚は指先だけではありませんが、偉大な感覚の一つだと思います。