八丈太鼓の稽古場には十条駅から演芸場通りを歩いて行きます。
稽古の帰り、思い切って木戸銭を払い、大衆の一人になってみました。
木戸銭は1600円。
この篠原演芸場は東京で最も古く、開館は昭和26年(1951)だそうです。
十条は商店街が健在でそのうちの一つ中十条の中央商店街はこの劇場があるのに因んで
平成10年(1998)に演芸場通りに名前が変更されたそうな。
都内に残る大衆演芸場はここ十条と浅草の二館のみ、かの梅沢富美男もここの舞台から
巣立ったという歴史があります。
演芸場通り。十条方面をのぞむ。
しばらく歩くと演芸場が見えてまいります。
劇団や役者の幟が芝居小屋という雰囲気を盛り上げています。
昼の部と夜の部があり平日は夜の部のみ。
昼の部:12:30~16:00
夜の部:18:00~21:30
千秋楽は12:00開演
演芸場に入ると履物を脱ぎ下足入れに入れるか備え付けのビニール袋にて持ち込むかします。
正面に舞台、左手にある花道を挟んで畳敷きの客席があり、
前方に並んでいる座椅子には予約のお客さんの名札が貼ってあります。
入り口手前に積んである座椅子と座布団を借り、空いているところに陣取ります。
二階席もあり客席数は150くらいでしょうか。
壁には「公演中の携帯での写真・動画撮影は禁止です」の大きな張り紙が。
その上には出演の役者さんたちのバナーが掛かりなかなかいい雰囲気です。
ホールには芝居茶屋というカウンターのお店と売店が。
各種おにぎり(130円)や鳥唐揚げ、焼きそばなど。
コーヒー(200円)や缶ビール(350円)も。
売店でおにぎりを購入しましたが、できたての温かいのを優先的に出してくれる心遣いがありました。
他のお客さんも客席でおにぎりをほおばる人が多く、どうやら人気メニューのようです。
さて、時間通りにいよいよ開演、ミニショー、芝居、舞踊ショーの三部構成。
ショーが始まると撮影禁止のはずなのに皆さんカメラで動画も撮りまくり。
これは黙認なのか、「携帯で撮影禁止」というのがキーワードなのかは不明。
確かに皆さんズーム付きのデジカメを使っておりました。
お客さんは若い(と思われる)女性が大半で、妙齢の御婦人、熟年夫婦、母娘・・・。
役者さんは女形がメイン(梅沢富美男を御想像あれ)なんですが
男装のヒロインもいて、観客の女性が黄色い声をあげる対象となっていました。
私は詳しくはありませんが、宝塚のトップスターに近いものがあるのかも知れません。
正直客層が若いのには意外でした。
若かりし頃、あれは北千住だったかと思いますが大衆演芸場に行った事があり
その時はお客さんは熟女ばかり、おひねりは飛び交うは、
役者さんの着物の胸元に万札が挟み込まれるという
異様な熱気に圧倒された記憶があります。
その印象が強かったのですが、現代の大衆演劇は客層が様変わりしたようです。
スポットライトを浴びた舞台の女形は確かにぞくっとするほど、
舞台からは暗い客席は見えないと思うのですが役者さんはまんべんなく視線を配り
お客さん一人一人に自分だけ見つめられているように印象づけるのはさすが。
そんなこんなで終演は21;30、1600円でたっぷり3時間楽しめました。
芝居がはねて、演芸場前の賑わいに別れを告げました。