夏は怪談話、ゾ~ッとして少しは涼しくなるんでしょうか。
クーラーが普及していない昔はたいていの家は窓を開け放ち、風を入れて暑さを凌いでおりました。
この解放感が、得体の知れないものが部屋に入ってくるという感覚を助長していたように思います。
現代のクーラーの効いた密閉空間にはそんな妖気が入ってくる隙間はないのかも知れません。
さて、怪談話はとある古いアパートから始まります。
働き盛りのAさんはそのアパートの住人でした。
長い髪の美しい奥さんと活発な小学生の娘さんが一人、三人家族で仲睦まじく暮らしておりました。
忙しくてなかなか家族旅行などできませんでしたが、毎年お盆の時は車を借りてふるさとに家族そろって帰省するのを楽しみにしておりました。
ある夏の日、3人は車で山道を走っていましたが、上流での豪雨のため発生した土石流に呑み込まれ、一瞬にして車ごと流されてしまいました。
車はいまだに発見されておりません。
事故から数日たったある日、住んでいたアパートに「ただいま~」という声とともに3人の姿が現れるようになりました。
その写真がこれ。
2階の右側に髪の長い奥さん、その下に女の子、1階の壁中央にはAさんの影がはっきりと。
みんなでよっぽど帰りたかったんだと思えます。
少しは涼しくなりましたでしょうか。
なお、この物語はフィクションですが、このアパートは実在し、写真に加工はしておりません。
ま、世にいう超常現象の殆どはこのように壁のシミを幽霊に仕立て上げちゃう類だと思います。
ありもしない悪霊との縁を切ると称して多額の金品を寄付させる宗教団体、このほうがよっぽどオソロシイ存在でありまする。