HAPPYの非日常茶飯事な日々

日々の川柳や和太鼓などについて語ってまいります。

太鼓:重力と慣性

10月にある日本太鼓協会開催の初心者向け太鼓講習の講座をお願いされました。

今までの講習から自分なりに理屈を整理していますが、その一つはきっちり音を出すこと。

和太鼓は大きな音を出すために造られた世界一丈夫な楽器、

太鼓を打つ時はその特性を引き出してあげるのが一番、という理屈からです。



さて、太鼓もいろいろな打ち方があり、一般的なのは伏せ打ちと言って太鼓の面が水平に近いもの。

縦打ちともいいます。

これに対して横打ちもあります。これは太鼓の面が垂直のもの。

しっかり音を出すために縦打ちは重力を、横打ちは慣性力を使うのがいい方法、

両方とも決して力では打とうとしないのが一つの秘訣と言えます。


縦打ちに関しては地球の重力を使う。

バチの重さは普通120~200gくらい。

試しにこのバチを腕を目一杯差し上げた状態から太鼓の面に垂直に落としてみると

それだけでけっこうな音が出ます。バチもかなり飛び上がります。

さて、差し上げた腕、重さはどれくらいあるかご存知?

個人差はありますが片手の重さは体重の6~7%と言われています。

体重50kgの人で3~3、5kg、野球のバットの重さは一本1kgくらいですから

バット3本強の重さがあるわけです。

腕は肩に支点があるため全部の重さがかかるというわけではありませんが、

腕を差し上げて、そのまますっとんと落とすとバット3~4本をまとめて落とすのに匹敵します。

ただ落とすだけですがこれだけでかなりの音が出そうです。

この時に大事なのは腕や肩の力を抜いてあげること、決して力で打とうとしないこと。

力が入るとそれで重さを支えることになり、せっかくのバット3~4本が1本分になっちゃったり・・・。

まずは腕とバチの重さを感じて、素直に太鼓の上に落とす感覚を掴んでほしい。


次に、その自然落下に勢いを足してあげます。

そうすることで鋭い大きな音が出せる。

打つ、のではなくバチの尻にヒモがついていてそれが引っ張られる感覚。

腹筋を縮めるようにして腕を下に引き、太鼓に向かってバチ毎吸い込まれるような動きをします。

この動きは初心者にとって到底できるとは思えませんが、頭の上で理解しておいて欲しい「極意」です。

手首は柔らかくして、バチは軽く支えてあげる。決して固く握らない。


横打ちの場合は重力を使う事が縦打ちよりも難しいため、バチを振り回す慣性による打ち方が一般的。

これについては今回は触れません。



太鼓初心者に楽しく太鼓を打ってもらうために、理論と実践をどう伝えればよいか、

悩むところではあります。

ま、これも太鼓を打つのと一緒で試行錯誤、感触を確かめながらやるしかないでしょう。

自分が太鼓初心者だったらどう教えてもらうのがいいか、もポイントかも知れません。

あなたにだけこっそり教える太鼓の秘訣、みたいなアプローチがよいのかも・・・。
(実際は皆に教えちゃうんですけどね)