ヨーロッパに留学している弦楽カルテットの若者たちを追うドキュメント番組をみた。
個性と自由を重んじるヨーロッパ音楽に対し、当初の彼らの演奏はとても深刻で、律義という評価だった。
留学先の教授いわく、君たちの演奏からはメトロノームの音が聴こえて来ると。
もっと楽譜を歌いなさい、ここはテュットゥットではなくランパンパンと聴こえて来ないとダメ!とも。
これってまさに我々が言うところの口唱歌ではないか!
3年後の最後の授業で、教授は自らバイオリンを弾いてみせた。
代わってそれを聴いていた学生は感動して涙ぐんでいた。
日本の太鼓でも同じ事が起こる。
毎回熱いものが胸に込み上げて来る演奏をする若者たちがいる。
障害者のひたむきな太鼓演奏にも感動する事がある。
技術ではなくそこにはハートがある。
逆もまたあるわけで、驚愕するテクニックを披露するプロがいる。
一糸乱れぬ演奏をする集団がいる。
それでもそれだけなのだ。
正確に楽譜を追っている演奏はつまらない。
演奏者が太鼓で曲を歌う時、その感動はこちらにも伝わるような気がする。