イソップ寓話「空飛ぶカメ」より
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ある沼にカメが一匹住んで居りました。
沼には鴨や白鳥もいて、大空を自由に飛び回っています。
それをカメはうらやましく思ったものです。
僕も大空を飛んでみたいなあ、気持ちいいだろうなあ、
一度でいいから鳥さんのように世界を上から眺めてみたいもんだ。
ある時、カメは思い切って鴨にその事を打ち明けました。
始めのうちは鴨も取合ってくれませんでしたが、
カメのあまりの熱意に根負けして何とかしてみようという事になりました。
よく晴れた日の午後、ついにその時がやってきました。
カメが棒の真ん中をくわえ、その棒の両端を二羽の鴨がくわえ、えいっと飛び立ちました。
そうして空高く舞い上がり、カメは大空を飛び回るという願いがやっと叶いました。
しかし、空中で棒をくわえてぶらさがっているカメは下を見ることができません。
カメは「なんだ、見えるのはただただ青い空ばかりじゃないか、
これならいつも地上で見ている光景とおんなじだ」と口惜しがりました。
地上に降りたカメは鴨達に丁寧にお礼を述べ、
沼に浮かんで大空を眺めるのでありました。
とっぺんぱらりん
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原作では、隣の芝は青く見える、という教訓話のようですが、大空に連れて行ってもらったカメが思わず口を開いたため岩に叩き付けられて死んでしまう、というもの。ないものねだりを戒めているようですが結末が残虐なものが多いようです。
本編は何事も経験、というニュアンスを込めてみました。