学生の頃、スケッチブックを持ってあちこち一人旅をしておりました。
和歌山の美浜町の煙樹ヶ浜というところを訪れたのは40年ほど前。
今となってはなぜ訪れたのかも覚えていませんがそこには忘れられないカンドウがありました。
この浜は砂浜ではなく、こぶし大の黒っぽいまあるい石が敷き詰められたような浜でありました。
ちょうど夕刻を迎えようとする頃、季節は秋だったように思います。
浜は比較的傾斜がきつく、打ち寄せる波が石を洗います。
波が引く時に、石が転がり、とてもきれいな音を出します。
コロコロカラカラ、ポロカラカラポコ、ポロキロカラカラ・・・。
断続的に繰り返される波と石の音楽。
しばらく夕闇が迫るまで聴きいってしまいました。
煙樹ヶ浜はとても広く長い浜。
今でもあの時の石の奏でる音と煙るような浜の光景は蘇ってまいります。
それにしても浜からあんな音が聴こえて来るなんて、びっくりしたなあ、もう。