インドは聖地ベナレスを訪れた時の事。
朝食を終え、まだほの暗いガンジス川に船で出てみる事に。
船の傍を豚の死骸と人の赤ん坊の遺体が当たり前のように流れて行きます。
岸では人々が沐浴をしています。
上流では遺体を荼毘にふし、灰をガンジス河にまいているのを目の当たりにします。
生と死が濃密に絡み合う街ベナレス。
聖なるガンジス川から眺めるベナレスの街並は川岸から小高い丘へと伸びております。
民家の壁には丸い文様が描かれているのがそこここに見受けられます。
再び岸に上がってみると、さすがにヒンドゥー教の聖地だけあって
神様の使いである牛が町中を闊歩している姿をあちこちでみかけます。
入り組んだ路地、細い階段、行き交う人々と牛。
香の匂いと祈りの歌が風に乗って体をかすめます。
とある角を曲がるとそれまでとは違う香のニオイが...。
それは民家の壁一面に貼られた牛の糞から発せられておりました。
川から見た丸い文様は実は牛糞を壁に貼って乾かしていたものだったんですね。
乾燥牛糞は燃料として使います。
大地の味のする朝食も燃料はこれだったのね。