東京ステーションギャラリーで開催されていた「河鍋暁斎の底力」展に行って参りました。
河鍋暁斎は江戸末期から明治にかけて活躍した画家、河鍋狂斎とも画鬼とも称した鬼才です。
東京駅を設計した辰野金吾の師匠でもあったジョサイア・コンドルとも親交があった画家で、所縁のある東京駅での展覧会開催も洒落ています。
この展覧会は新発見を含む暁斎の下絵を集めたもの、下絵、いわゆる天才のデッサン集みたいなものです。消しゴムで消せない墨による下絵は和紙を上から張って修正をしています。首の傾きや、配置等細かく修正していた事がよくわかります。
一方では即興画の作品も展示されており、烏を描いたものは下書きなしに一気に描かれた緊張感と完成度がすばらしい。
それまではやはり下絵は下絵で本作の持つ迫力は感じられないなあと会場を回っておりましたが、思わず足を止めたのは鯉を描いた下絵。
これは下絵ではなく立派な作品だわ、と思わず唸りました。
水中を泳ぐ鯉のうろこの一枚一枚、生き生きとした目、波の反射も墨の濃淡で見事に描き切っております。
観察眼と描写力に帽子は被っていませんでしたが思わず脱帽。
河鍋暁斎おそるべし。
この東京ステーションギャラリーは東京駅の中にあり、当時の煉瓦積みも今に生きている遺構としてつぶさにみる事ができるようになっています。
再現された東京駅の北口ドーム天井。
回廊部分は当時の東京駅の模型や興味深い装飾などの遺構が展示されています。
新型コロナで入場制限がかかっており、大混雑の展覧会ではなく、落ち着いて観て回る事ができるのは新型コロナの唯一の恩恵かも知れません。