HAPPYの非日常茶飯事な日々

日々の川柳や和太鼓などについて語ってまいります。

俳句:梅

 紅白の 梅の額には 富士の嶺 

世田谷の静嘉堂文庫(セイカドウブンコ)美術館を訪れました。

歌川国貞の錦絵展が目当て、NHKの番組でこの静嘉堂文庫美術館の存在を知りました。

静嘉堂文庫は三菱の岩崎家ゆかりの場所にあり、

広大な庭園とともに世田谷の西部の小高い丘の上にありました。

西側が開かれており、大きな窓からは雪帽子を被った富士山が頭を覗かせていました。

庭園に出ると二分咲きほどの紅白の梅の木の間から、富士山が望めます。

朝一で訪れたので、富士山もくっきり見えましたが、昼頃になると霞んでしまいました。


三代国貞の錦絵はとても精細で美しく、これはゴッホや他の画家が夢中になるのもうなづけます。

国貞と弟子の広重の共作もあったり、作品の説明も丁寧で見応え十分の展覧会でした。


100点近い作品群は江戸の風俗を今に伝え、興味深いものもたくさんありました。

「眉隠し」と題される作品は、若い娘が鏡の前で眉を両手で隠している景が描かれていますが、

当時は女性が結婚すると眉を剃り、歯を黒く染める(お歯黒)風習があり、

若い娘は眉を隠した自分がどんなイメージになるかを鏡に映してときめいていた様子が伝わってきます。


また、新古今和歌集の歌を引用する作品もあったり、当時の江戸庶民がいかに文化的な生活を

送っていたかがうかがい知れたり、今更ながら識字率の高さに感心したり。


当時は浦賀にペリーが来た時と前後しているあたりですが、

日本らしい文化芸術が最高峰に達しているのではないかと。


役者絵や美人画は決して写実的ではないのですが、

写実以上にその人物の魅力を伝えているように思えます。

錦絵は決して一品制作の美術品ではなく、今でいうブロマイド、大衆向けの消費される芸術でした。


富士山と錦絵に感銘を受けた一日でした。

改めて日本は素晴らしい国だと思います。