今習っている楊名時太極拳が健康太極拳というのはすでに書きました。
中国の制定拳、簡化太極拳24式は第一式は起勢(チーシー)から始まりますが、
楊名時太極拳は十字手から始まります。
十字手は簡化太極拳の最後の収勢(シオウシー)の手前にありますが、
楊名時太極拳はこれを外回しの十字手として新たに取入れています。
大気中の気を取り込む、皆と歓びを共有するという意味合いを持たせているとのこと。
これはこれで一つの理論であると思います。
次の起勢。両手を肩の高さに上げ、下方に降ろす動作です。
勢は勢いではなくカタチの意、姿勢の勢です。
太極拳を始める第一の動作ですが、単に導入部ではなく、武術的にも意味が。
手を上げるのは、両方の手の甲で相手が攻撃してきた手を上方に跳ね上げる、という動作。
相手の攻撃力を利用して、必要最小限の動きで攻撃を防ぎます。
これは日本の剣術の柳生新陰流の動きに共通するものがあり、武術の真髄を感じます。
起勢の手を下ろす動作、これも相手の攻撃を下方に流す、
または相手の手首をつかんで下方に引倒す、という動作が集約されています。
起勢、簡単な動きの中にもいろいろ詰まっているので面白いです。