HAPPYの非日常茶飯事な日々

日々の川柳や和太鼓などについて語ってまいります。

この世:みつばちの羽音と地球の回転

震災から半年、毎日のように放送されていた福島第一原発のニュース映像も目にする事が少なくなりました。
 
以前から観たいと思っていた鎌仲ひとみ監督の映画、みつばちの羽音と地球の回転を観てきました。
この映画は今回の福島第一原発が事故を起こす前に撮られています。
 
山口県祝島という瀬戸内海に浮かぶ人口500人の小さな島。
 
対岸の島に原発建設が決定してから30年近く、
原発絶対反対を訴えてきた島民のドキュメント映画である。
 
半農半漁で生計を立てようと奮闘する反対派の人々。
島には豊かな漁場、瀬戸内海でも貴重な魚の産卵場でもある海草の宝庫が取り巻く。
無農薬のびわの栽培、豚を使った循環型農業の導入。
びわは採集した瞬間から死んでいく、木になっているのをかぶりつくのが一番うまいという。
豚を使い、休耕田になっていた先祖代々の段々畑を再生する人。
島から出る生ゴミや売り物にならないびわが豚たちのごちそうである。
原発が稼動すると、大量の温水が休む事なく廃棄され、
瀬戸内海が死ぬかも知れないと一本釣りにこだわる漁師はつぶやく。
 
中部電力の社員は原発は絶対安全、環境破壊はしません、
原発によって新たな雇用が生まれ、今の暮らしがよくなる、
一次産業では若者も戻って来ず未来はない、と言い切る。
 
今となっては福島の現実が彼らのことばの虚しさを浮き彫りにする。
 
6億円近い漁業補償料がかってに振り込まれる。
反対派と賛成派の確執はこの映画では殆ど語られる事はないが
人々が分断され対立した事は島民の口ぶりから容易に想像できる。
 
映画は環境先進国スエーデンに取材も行っていた。
 
スエーデンは1980年に国民投票により原発廃止を採択しているが
今も原発は稼動しているし、建て替え計画もあるようだ。
 
北部のオーバートーネル市は原発に頼らず循環型生活を選択した街。
 
風力発電、酪農の株式会社設立、牛糞のバイオマス工場、
議員はボランティアで無報酬、電気は個人で購入先が選べる。
原発の電気を使いたくない人はその選択が可能。 
 
祝島原発絶対反対のリーダー的存在は
自分たちに原発建設中止させる力はないが、
世の中から原発反対の声があがるまで
一日でも着工を遅らせる事はできる、と語っていた。
 
こどもたちの将来の不安、放射能の恐怖と引き換えに
手に入れる豊かな暮らしか
 
豊かな自然の恵みと工夫努力により生み出される
安全安心な暮らしか
 
原発の土地整備が進み、つまらない景色に変貌を始めたと心配する人々。
美しい景観もかけがえのない財産・・・。
 
豊かな海と豊かな山と美しい景観。
島の人々はその中で当たり前の暮らしを願っているだけなのだ。
 
監督は冒頭でみつばちの羽音が地球の回転に影響を与える事があるかもしれないと語っている。
 
FUKUSHIMAはみつばちの羽音(人々のちいさな声)が
地球の回転(世の当たり前の事)に影響を与え始めている。
 
 
写真は3/11地震当日のお台場
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