先日、長野の松本を訪れた時、古い洋館建築が残っていました。
明治維新となり文明開化の足音とともに、日本は西洋化の道を歩み始め、
西洋文化の輸入とその模倣が始まりました。
衣装や食べ物はもとより建築も見よう見まねで洋館が建てられ、
大工の棟梁が木造による洋館建築を手がけて行きました。
その一つ、キリスト教の神父が住んでいた木造の洋館を訪ねましたが、
壁が多く、縦長の小さな窓が配された典型的な洋館建築でした。
日本の夏は湿気が多く、暑いので、日本の建築は解放的に作られています。
冬はとても寒いのですが、寒さは暖をとることでなんとかしのげますが、
クーラーのない時代、暑いのはどうしようもありません。
風通しを良くするために開口部は可能な限り大きく、日陰を作るための長いひさしを持っています。
また長い庇は雨風をしのぐにはとても有用です。
このような和風建築は日本が山国で緑豊かな木の国だからできる芸当です。
柱と梁で形作られる建物は開口部を大きくとる事が可能、
これに比して石を積んで作る西洋建築ではその構造上壁がメインになり、
開口部は縦に細く長く開ける事しか出来ません。
また、長い庇を設けるのも石造建築では難しい。
そういうカタチだけ持ち込んでも高温多湿の日本では住みにくかったと思われます。
日本の銀座は明治維新以降レンガ作りの建物街になりましたが、その結果健康を害する者が続出、
やがて取り壊されたそうです。
西洋への憧れが建物の重要な機能を無視して、カタチだけ真似たしっぺ返しを食ったのかも知れません。
現代でも、建売住宅等ではその傾向があり、いかにもの洋風のデザインがもてはやされていたりします。
最終的にはそれぞれ個人の好みですが、日本の気候風土を考慮した省エネ住宅が良いと思っています。