子供の頃、多分4〜5歳だと思いますが、母親と二人で家にいた時、
見知らぬおじさんが訪ねてきて、玄関先の上がり框に腰掛けてゴム紐を売りに来た事を思い出しました。
今考えると世に言う押し売りの類かなと思いますが、会話の内容は覚えていません。
「刑務所を出所してきたばかりで・・・」と極悪さをアピールし、法外な価格で無理やり買わせる、
と言うのが押し売りで、強要や恐喝まがいの行商です。
覚えているのは、母親は動じる事なく丁寧に接し、いくばくかのゴム紐を買っていたように思います。
いくらで買ったのかはわかりませんが、相手が誰であれ人として接していたように記憶しています。
トランクの中にはゴム紐のほか、縫い針や石鹸など生活雑貨があったように思います。
噂では、包丁や果物ナイフの類があり、それをちらつかせながら脅して買わせる、なんてのも。
昔は家に電話がある方が珍しく、警察に通報も叶わないため押し売りが成り立っていたのでしょう。
家も出かける時以外は開けっ放しで、不用心でしたがそれで済んでいた時代でした。
今は押し買いと言って、家に押しかけて貴金属を無理やり買って行く商売が横行しているとか。
目が利かない素人相手に、宝石や金を偽物だと言いつつちょっと魅力的な小遣い銭で買い取るそう、
相手にしてみれば文字通り宝の山なんでしょうなあ。