さて、街はまだ眠りについている朝5:00過ぎ、仏歯寺の前は時折バスが発着している以外は人の姿も見かけません。
静寂の中、と言いたいところですが実際はスピーカーからかなりの大音量で読経の声が流れています。
これは恐らく録音ではなく、生放送。
まだ闇の中、ライトアップされた仏歯寺の威容がだんだん近づいてまいります。
スリランカの寺院は土足厳禁。
入口には下足番小屋が必ずあり、お布施とともに履物を預けます。
寺院の内部には太鼓、笛を奏でる一団がいて、大きな建物全体に音楽が満ちています。
仏教を表す旗がいたるところに下げられています。
成田山新勝寺でも同じようなものを見かけた記憶がよみがえりました。
仏の歯が収められている厨子は建物の二階、途中の階にはパゴダがあり白装束の人が丁寧に掃除をしておりました。
二階へあがるとこちらも白装束の人々が祈りをささげております。
仏歯が収められている部屋の前は花やご飯を供える祭壇があり、人々がひっきりなしにお供え物を持参しておりました。
この左右に長い行列を作って正面の部屋の扉が開くのを待ちます。
上に掲げられているのが釈迦の歯が収められている厨子。
解説書によると七重の箱で金製の厨子には宝石がちりばめられているとか。
扉が開くのは一日に三度。
お布施をする人は部屋の中に入る事ができるようです。
これが扉が開いたとき見る事ができた厨子。
宝石山盛りです。
私は個人的には遺物を崇拝する気持ちはありません。確かに希少なものには違いないと思いますが特別な霊力があるとしてそれを拝んだりはしません。
西洋でも聖人の体の一部を拝むものですが、私にしてみればそれは単なる物体で崇め奉る気持ちにはなりません。
仏歯が収められている部屋の扉の一つ。
銀細工の緻密な彫刻が施され、モチーフとしての孔雀や象の姿もみられます。
仏の歯は仏教を信奉する歴代の王権にとってもとても大切なもので、必ず都に安置されたそうです。
スリランカの歴史は紀元前から北部のタミルとの抗争の歴史とも言え、戦禍を逃れ、都も北から南に遷都されその都度仏歯も移されたようです。
1階にもお堂があり入口の両サイドには立派な象牙。
ちょうどお坊さんたちが出入りしているところで、ちょっと物々しい雰囲気が漂っておりました。
スリランカではお坊さんの衣装はこのオレンジ色の質素なものだけです。
どんな高僧でもきらびやかに着飾る事はありません。
これは仏の教えを見るようでスリランカの仏教に親近感をいだきました。
スリランカのお祭り、ペラヘラには象も参加します。
ここキャンディもペラヘラの重要地点で、仏歯寺の一角には象のミュージアム(記念館?)があり、歴代の象の写真やはく製が展示されています。
この象の像は特に立派でした。
お祭りの時は背中に厨子を載せ街を練り歩くようです。
前後には楽隊や踊り手がいてそれはにぎやかなもの。
後にコロンボでペラヘラを見学できました。
あの音の中でも象は驚きもせず行進しておりこちらが驚きました。