昔々あるところに正直爺さんと意地悪爺さんが住んでいました。
二人には頬に大きなこぶがありました。
ある時、正直爺さんは山へ柴刈りに出かけました。
雨が降ってきたので気の祠で雨宿りをしているうちに眠ってしまいました。
夜になってあたりがにぎやかなのでそっと様子をみてみると、なんと鬼たちが宴会を開いているではありませんか。
もともと踊り好きな爺さんはいてもたってもいられずに曲に合わせて踊りの輪に加わってしまいました。
鬼たちは最初はけげんな顔をしてみていましたが、爺さんの見事な踊りに大喜び、宴がお開きになる頃、鬼の親分が、「やれやれ、とてもいい思いをしたぞ、明日も来てうまい酒を飲めるように盛り上げてくれ、どれ、このこぶはデポジットで預かっておくゾ」とこぶをもぎとってしまいました。
爺さんは痛さをこらえながら顔をおさえて家に帰り、事の次第をおばあさんに話をしました。
「ばあさんや、やれやれ、こぶがとれて体がとても軽くなったようじゃよ」
「おじいさん、こぶがないとなかなか男前じゃがね」
これを隣で聴いていた意地悪爺さん、「明日の夜はワシが行ってこぶをとってもらう」と正直爺さんに鬼のでる場所を教えてもらいました。
意地悪爺さんは教えてもらった木の祠に身を潜めて夜を待ちました。
やがて鬼たちが集まって酒宴を始めました。
その様子をうかがっていた意地悪爺さん、あまりの恐ろしさに身がすくんでしまいました。
鬼たちは人間の臭いをかぎつけて爺さんを鬼の親分の前に引き出しました。
爺さんは踊るどころか体がこわばってその場を動くことができません。
その様子に業を煮やした鬼の親分、「ああ、つまらん酒になった、これはお前に返すから二度と来るな」とこぶを反対側の頬にくっつけてしまいました。
命からがら逃げかえった意地悪爺さん、こぶが重くて思うように体が動かせなくなってしまい、運動不足でちょっぴり太ってしまいました。
これが本当の小太り爺さんのお話。
とっぺんぱらりん。
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童話の世界では正直者はバカを見るというお話は少ないようです。
正直者は報われて、そうでない者は踏んだり蹴ったりの結果が待ち受けているようです。
しかし、現実の世の中は正直者のお年寄りが特殊詐欺の餌食になり続けているようです。
今回はおまけに川柳つけちゃいます。
気を付けよう うまい話に 色と欲